WOR-HOLI NOTE

オーストラリア異文化体験記

リ・デザインのはじまり

世界一周から帰国するとき、再び日本の企業で働くのは無理だと思った。
それにできれば日本にもいたくない。
外国にいるときのほうが、私はハッピーである。

そんなことを言うと、

旅行していると他国のいい面ばかりが見えるからそう思うのだ、日本ほど安全で発展した国はないのだ。
それに日本食が世界で一番うまいじゃないか。

とでも諭されそうだが、しかし私にも言い分はある。

私は地震や過労で人が死ぬ日本を「安全」な国だとは思えない。
言論の自由だって怪しいし、女性差別も間近で見たし、ほんとに「発展」しているの? とおおいに疑問を持っている。
それに日本酒も日本食ももちろん好きだが、世界各地の街角で食ったパッタイもタコスもフォーボーも本気でうまいと思った。

住んでみないとわからないのだ。
私にとってどこが安全で、どこが居心地がよい場所なのか。
日本にしか住んだことがないのに「日本が一番!」というのは、ちっとも根拠のない話である。

また、私には海外に「住む」という経験がなく、それは旅人としてのコンプレックスでもある。
外国の表層だけを見て日本と比べているにすぎないんじゃないか。
そんな真面目なことを旅の間にしばしば考えたものだ。

それはともかく、使える制度があるなら行こう、「英語を勉強しています」と言えば格好もつくしということで、赤道を越えてオーストラリアに来たわけである。

*****

「人生をredesignするために来たんでしょ?」

語学学校の講師、ポールがそう言ったとき、私は深くうなずいた。

退職当時、いや、つい最近まで、日本社会から脱落したことを心のどこかで恥じていた。
しかし今は、日本からの逃走者であることをちょっと誇りに思う。

オーストラリア生活がうまくいくのかどうかはわからないし、すでに節約ベジタリアン生活にうんざりしているのだけれど、異国の女学生という身分は、考えてみるとたいへんけっこうである。

誰にはばかることもなく、愉快に過ごす所存だ。

 

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(フェデレーション・スクエア; ここがカモメにつつかれた現場)

 

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